Vol.01 石河美穂「今届けたい歌」マスタリング現場取材

ホーム > UNI音現場レポ―ト > 

ページタイトル

Vol.1 石河美穂「今届けたい歌」マスタリング現場取材

取材日 2012/12/2
取材場所 東京都渋谷区㈱日本クラウンマスタリングスタジオ
作業内容 マスタリング
作品内容 アーティスト名 石河美穂
作品タイトル 今届けたい歌
公式サイト http://www.miho-ishikawa.com/
作業詳細 Min-min氏によるMIX作業を終えた楽曲2曲と、過去にある2曲を織り交ぜ、4曲を1枚のCDに収録し、マスタリングを行いました。
topimage
image image image

エンジニアインタビュー

【Min-min氏】

今回の作業はどのような作業でしたか?
1年半前にすでに出来上がっている別のエンジニアさんがMIXをした2曲の音源と、私が今回MIXした2曲を1枚のCDにマスタリングする作業でした。
マスタリングによって一番変わる点は何処にありますか?
言葉では説明しにくいのですが、当然のことですが(笑)、音質のクオリティーとまとまりが、格段に変わります! 特に、今回は、1枚のCDのなかで、楽曲により異なるのエンジニアがMIXをしていますので、音質のまとまりに関しては、格段に良くなりましたね。
特に今回気を使った点はどこですか?
別の方がMIXを行った楽曲にも、良い方向性が出ていましたので、その良い点は殺さずに、1枚の作品にすることに一番気を使いました。

【間部氏】

※間部氏は、今回メインで作業をしていただいたエンジニアです。

今回、メインエンジニアとして、作業をしていただきましたが、一番気を使った点を教えていただけますか?
先ほど、Min-minさんも同じような回答をされていましたが、やはり、今回は、MIX作業を複数のエンジニアが行っておりますので、同一性をテーマとして、作り上げました。1枚のCDとして、綺麗な流れが出来るようにしてあります。
それでは、Min-minさんにさせていただいた質問とは、方向性の違う質問をさせていただきたいのですが、 スタジオ内を見学させていただき、アマチュアの世界では、なかなかお目にかかれない機材ばかりが置いてあるのですが、特に、電源周りに高級感を感じるのですが、お話を聞かせていただけますか?
そうですね、おっしゃるとおり、電源周りは一番大切に考えています。電源は非常に大事で、音にかなり影響します。配電盤から伝導率の良い太い高級ケーブルを使用しております。海外の機材も多数導入しておりますので、それらの電源は、また別にしてあり、117Vに昇圧し、電源クリーナーを通して、安定供給しております。
間部氏の作業に使用する機材の中で、カナメに成っている機材をご紹介いただけますか?
やはり、イコライザーとコンプレッサーなのですが、こちらが、一番重要な部分を作っているイコライザーで、MES-462C9 EQです。(※写真A)
先ほど、日本に 1台しかないであろうイコライザーとおっしゃってましたよね。
そうだと思うんですけどね、他のスタジオでは、いっさい見たことが無いし、かなりレアなものですね、これのステレオのものはあるんですけど、デュアルモノのは、無いと思うんですよ。
この機材をメインに音を 作るわけですね?
そうですね、まずは、これで根源の部分を作り上げています。 さらに、こちらの、「MilleniaのNSEQ-2」(※写真、B.C) を通して、色付けをしています。これもアナログのチューブイコライザーで、こちらは、MSモードと言って、ステレオの広がりの部分と、真ん中に来ているボーカルの部分など、別々な処理を加えることが出来るんです。ボーカルの部分を出したい場合は、真ん中の部分だけを際立たせ、ギターのエッジを立たせたいときなどは、その部分だけを処理することが出来るんです。まあ、それほど極端にはいじりませんが、色付けするにはとても良い機材です。
メインのコンプレッサーはどちらを使ってるんですか?
こちらの、「CHANDLER LIMITED LTD-2」(※写真DとE)と、「MANLEY Stereo Variable-Mu Limiter」(※写真FとG)を組み合わせて使っております。 こちらの「CHANDLER LIMITED LTD-2」は、音の立ち上がりのスピードが凄く早いので、ドラムなど、とてもパンチが出ます。「MANLEY Stereo Variable-Mu Limiter」の方は、対照的で、滑らかな立ち上がりなので、ボリュームコントロールに主に使っております。したがって、この2台で、アタックとリリースを使い分けている感じです。
こちらに、とても珍しい機材、オシロスコープ(※写真H)が置いてあるのですが、
どんなことに使用されているのですか?
こちらは、耳だけの判断では足りないと感じたときに使用しているのですが、位相を見るために使うものなんです。 リサージュ波形と言うものが見れるのですが、ステレオの広がり感を視覚的に確認できるものなんです。 正相成分と、逆相成分を視覚的に見ることによって、定位を正しく判断することが出来るんです。まあ、確認のためですね。 もともとは、アナログテープのヘッドの角度を調整するための機材だったんですよ。10kの信号をヘッドに流して、微調整していたんです。 何のためかと言うと、アナログテープを再生したときの、LRの位相がずれないために調整をしていました。そのときに、このオシロスコープの画面を見ながらやっていたのです。
この辺りの機材はどのような役割なんですか?
こちらの機材たちは、アナログで、処理した音を、今度はデジタルで取り込み、最終的な調整をし、「MAGIX / SEQUOIA 11」と言うマスタリング専用のソフトウェアに流し込んでいます。
先ほどから気になっているのですが、こちらのコントローラーノブが一つしか付いていないこの機材は何ですか?
これは、DANGEROUSのS&M(※写真IとJ)と言いまして、このつまみ一つで、
ステレオの広がり感を簡単に作ることが出来るんです。
WAVESのプラグインのS1のようなものですね?
そうです!!このS&Mを通した後に、「MilleniaのNSEQ-2」に送り込むので、
さらに「MilleniaのNSEQ-2」のMSモードが生きてくるんですよ。
参考画像

写真 [A]

参考画像

写真 [B]

参考画像

写真 [C]

参考画像

写真 [D]

参考画像

写真 [E]

参考画像

写真 [F]

参考画像

写真 [G]

参考画像

写真 [H]

参考画像

写真 [I]

image image image

お客様の声

今回、作業をご依頼いただきまして、一番感じた点は何ですか?
各楽器の音の分離が凄くよくなりました。全ての楽器の音がMIXの段階よりもさらに分離されて良く聞こえます。 さらに、全体的に音が前に出ている感じがします。
作業中に、「ピアノの音が変わった!」とおっしゃっておられましたが、どのように変わりましたか?
以前にレコーディングした曲に収録されていたピアノなのですが、なんとなく、納得がいかない音でした。しかし、今回作業を行ったことにより、奥行きも出て、抜けも非常に良くなりました。
今回完成した作品には、満足されていますか?
はい、それはもちろんです!家に帰って、ミックスしただけのものと、今回マスタリングしたものを聞き比べるのがとても楽しみです!

UNI音より

取材にご協力いただきまして、ありがとうございます。
皆様の益々のご活躍をお祈りしております。
ありがとうございました。

(株)日本クラウンマスタリングスタジオ

オフィシャルウェブサイト:http://www.crownrecord.co.jp/studio/index.htm
東京都渋谷区にあるスタジオです 渋谷駅から徒歩10分 利用者皆様が使える、落ち着いたミーティングスペース ソフトドリンクも無料提供となっております。

間部氏のメイン使用機材一覧

・SONTEC MES-462C9 EQ
・Millennia NSEQ-2
・CHANDLER LIMITED LTD-2
・MANLEY Stereo Variable-Mu Limiter
・DANGEROUS S&M
・DAWマスタリングソフト「MAGIX / SEQUOIA 11」

その他常設機材

Monitor and Amplifire: B&W Noutilus 802D, CLASSE CA-2200, CONISIS SD-8422(Custom)
DAW: Sonic Studio HD, ProTools HD
AD Converter: dB Technologies AD122
DA Converter: dB Technologies DA924, Benchmark DAC-1
Clock Generator: ROSENDAHL NanoClocks
Analog Playback: STUDER A820 with Dolby 363
Digital Playback: SONY PCM-1630&DMR-4000, PCM-9000(MO), PCM-R700(DAT), CDP-D500(CD)
Digital EQ & Comp: Weiss EQ1, Weiss DS1 mkIII, Z-System ZQ-6, Waves L2, TC Finalizer96k, TC System6000
Other: Weiss DNA-1, dB Technologies 3000S, Lexicon LFI-10

ページ上に戻る